今回ご紹介するのは、クリスマスにおすすめの『ホリディ』。どん底から新しい風を求める主人公2人が、見ている私達にガッツをくれるロマンティックコメディになっています。


笑えるし心温まるし…それに私も人生の主人公にならなきゃ!とガッツまでもらえます!明るく自分らしい愛を手に入れる素敵な物語なので、クリスマス休暇に見るのにピッタリですよ!
Story
主人公は2人の女性、アイリスとアマンダ。アイリスは片思いで傷つき続けるコラムニストで、アマンダは恋に不器用な映画予告編製作者。ある日アイリスは、片思い中の同僚ジャスパーの婚約を知り心がズタボロに。家で大泣きしていると、以前登録した自宅交換サイトを通して、アマンダからクリスマス休暇に家を貸してほしいと申し込みが舞い込みます。アマンダも浮気した恋人と別れたばかりで、傷心休暇を取ろうと考えていたのです。アイリスもどこか遠くに行きたいと考え、家の交換を条件に2週間の自宅の貸し出しを承諾。そして早速アマンダはアイリスの住むイギリスの田舎町へ、アイリスはアマンダの住む暖かくてリッチなLAへ。新しい環境で新しい人々に出会い、やがて2人の心は変わっていきます。
Cast
監督・脚本 | ナンシー・マイヤーズ |
アイリス | キャメロン・ディアス |
アマンダ | ケイト・ウィンスレット |
マイルズ | ジャック・ブラック |
グレアム | ジュード・ロウ |
アーサー | イーライ・ウォラック |
ジャスパー | ルーファス・シーウェル |
マギー | シャニン・ソサモン |
「ホリデイ」の秘話
マイルズはジャック・ブラックのために描かれた
監督のマイヤーズは、高くブラックの演技やパフォーマンスを評価し、キャスティングしたそう。
“私は『スクルール・オブ・ロック』を見て彼の虜になった、彼がスクリーンから飛び出してきたように思えたの。彼は1人の観客として私に語りかけてきた。そして、なんて子供達上手に共演しているんだろうって思ったの、素晴らしいパフォーマンスの最高の映画で、彼はそこで輝いていた。『ホリデイ』について考えている時、彼のための役を作りたいと思った。彼はクラーク・ゲーブルじゃないし、長身で黒髪でもないし、ハンサムでもない。でも彼は愛らしくて、愛嬌がある。私的に、多くの幸運にも素晴らしい愛嬌がある人物の風貌を表現するのに、彼はふさわしい人物だった。そしてもちろん、すべての人が心を持ち、恋に落ちるに値する。だから彼は最高の恋人を手に入れるべきなの。それで私は彼をケイト・ウィンスレットとくっつけた”


誰でもジャック・ブラックには簡単に恋してしまう、これは真実。
(2012 interview joint interview with Diaz for Moviefoneより)
“「胸タッチアクシデント」のジョークは、前にセットで彼が私にぶつかった時に彼が「おっと、胸タッチしてごめん」って言って、私が大笑いしたのが元になっているの。だって男性達は普通ぶつかったら何もなかったかのように振る舞うのに、彼はすぐに「胸タッチ」について謝ってきた。だから私はこのジョークをシーンに書き加えたの”
キャメロンは天性のコメディエンヌ
“彼女はまるで人形。そして何でも挑戦する確かな意思がある。私が「次に階段を降りる時は、梁に頭をぶつけてみてくれる?」って言うと彼女は「良いわよ、もちろん!」って言って何でもやろうとするの。それに彼女は身体的にコメディを表現する天性の才能がある。雪の上で滑ったり転んだりして、あれほど面白い女性は他に思い浮かばない。私達は最初、スタントマンを連れてこようとしたの。撮影初日だったし、キャメロンに足を折ってもらいたくなかったから。そしたらキャメロンが「私がやってみても良い?」って聞いてきて、2テイクほどやったのよ”


美しいのにコメディが得意だし何でも挑戦するなんて…最高の女優すぎる…!
マイヤーズ監督がラブコメを作るわけ
“私は昔の映画が大好き。そして私は映画作りに人生を費やそうって決めた時に、ジャンルは私も観客として虜だったものにした。いくつかの映画に導かれ、他のジャンルは考えもしなかったの。女性のこと、男性と女性の出会いを書くのが好き。それから自分に起こった出来事を作品に取り入れることも好き、これまでそれは多くの人に共感されたみたい。だって「私のことみたいだった!どうしてわかったの?」って声が多いから”

「ホリデイ」の見所をご紹介

ここからは、ストーリー順に見所を解説していきます。ネタバレを含みますのご注意ください。
「恋は盲目」片思いの恋に傷つくアイリス
映画は、アイリスの恋愛についての1人語りから始まります。シェイクスピアの「愛に出会えば旅は終わる」そして「恋は盲目」の言葉を引用し、それは真実だと言います。以前の恋人で、今も不毛な関係を続けている同僚のジャスパーに、アイリスはいまだ片思い中。傷つくのは「愛してくれない人を愛したせいだ」とアイリスも理解していました。そしてアイリスの勤める新聞社では、早めのクリスマスパーティーが開催され、アイリスはジャスパーに彼の好きな本の初版をプレゼント。つい彼に優しくしてしまうのです。しかし事態は急変。ジャスパーが販促部のサラとの婚約を発表。アイリスはショックで思わず涙ぐみ、帰宅後も大泣き。


そして語りに乗って冒頭に流れるシーンは、美しい恋愛映画に音楽を付ける作曲家のマイルズ。マイルズ役のジャック・ブラックが映った瞬間、この映画はきっと面白いぞ!という気持ちになりました…。そしてそれは正解。それにしてもジャスパーは最低。
完璧主義者で妥協を知らないアマンダ
一方アマンダはLAで映画予告編制作会社を経営する、リッチなキャリアウーマン。恋人のイーサンが浮気をしたため、彼を家から追い出す修羅場中。そして追い出されたイーサンは「君は別れ際に涙ひとつ見せない!」と浮気したくせに文句。アマンダはそんな彼に2発のパンチをお見舞いして完全決別。そして傷心のクリスマス休暇を取ることを決定。


アマンダのストレス性食道炎は、監督マイヤーズの実体験から着想を得たものだそう…。そして、このシーンでアマンダが製作したフェイクの映画予告が流れるのですが、そこにジェームズ・フランコとリンジー・ローハンがちょっとしたカメオ出演!

2人の主人公の傷心クリスマスホリデイ
そしてアマンダは、早速休暇先をリサーチ。「傷心のクリスマスね」と呟き涙しようとするも1滴も出ず。ネットサーフィンをしていると、自宅貸し出しサイトを発見。そこで見つけたイギリスにあるアイリスの家を気に入ります。アマンダは早速アイリスにメールで貸家の申し込み。悲しみにくれるアイリスでしたが傷心旅行に行こうと思い、家の交換を提案。「そっちに男はいる?」と質問するアマンダにアイリスが「全くいない」と回答すると、アマンダは「完璧」と言い傷心にはもってこいだと考えました。そして2人は合意し、翌日から家の交換を開始することに。

LAとイギリスは別世界
そしてアイリスは暖かいLA、アマンダは雪のイギリスへ。アイリスの休暇にジャスパーは驚いてメールを送ってきますが、アイリスはシャットアウト。そしてLAに到着すると、イギリスとは真逆の明るさに大はしゃぎ。一方のアマンダは、アイリスの暮らす「ローズヒル・コテージ」に到着。


アマンダのシーンには、映画の予告編のようなナレーションが挟まるのですが、それが最高!ポップで面白い!ちなみに、アイリスの家の名前である「ローズヒル・コテージ」は、アイリス役のケイト・ウィンスレットが『タイタニック』で演じたローズから取ったもの。
アマンダは道の悪い田舎町で早速一苦労しますが、食べ物を買い込んで休暇を楽しもうとします。爆音で踊ったり、アイリスの犬と睨めっこしたり、LAとは真逆の生活が始まりました。

ちなみにアマンダが爆音でかけていたのはThe Killersの『Mr. Brightside』、最高の名曲です。
一方アイリスは、アマンダの豪邸に到着し驚愕。大喜びで豪邸生活を満喫。

アイリスのハッピーダンスはケイト・ウィンスレットのアドリブだそう!そして、この時アイリスが棚から選ぶ映画は『パンチドランク・ラブ』で、アメリカ人男性がイギリス人女性に恋をする物語。これから始まるマイルズとアイリスの物語を暗示しているようです…!

変化の前触れ「サンタ・アナ」
そしてアイリスの滞在するアマンダ邸に、アマンダの元彼イーサンの友人マイルズが、彼女のマギーとやって来ます。庭のゲートを開けて彼らを招き入れると、彼らはイーサンの荷物を取りに来たと言うので、アイリスはアマンダはロンドンで休暇中だと伝えます。すると強い風のせいで、アイリスの目にまつ毛が入ってしまいます。マイルズはアイリスの睫毛を取ってあげました。

サンタ・アナだよ、吹き荒れる風のことさ。この風が吹くと、何かが起こると言われてる。
サンタ・アナは秋から冬にかけて、南ロスアンゼルス盆地に吹く季節風だそうです。

そしてマイルズの車から流れるのは、モリコーネの『ニュー・シネマ・パラダイス』。マイルズは「僕が書いた…いやこれは願望さ」とジョークを飛ばします。
そしてアイリスはアマンダの助手に荷物のことを聞いておくから、明日また来て、と言い彼らは帰ります。マイルズは吹き荒れる風の中「飛ばされるなよ」とアイリスに言いました。そしてアイリスは彼らを見送り「何かが起こる…」呟きます。

このシーン本当に最高。モリコーネの『Nuovo cinema paradiso』から自然な流れで、ハンス・ジマーの『Anything can happen』につながる。これから起こる素晴らしい変化の前兆みたいで鳥肌が立ちます…。そして通り過ぎる歩行器の老人。まさか彼がアイリスの運命を大きく導くことになるとは…まさにこのシーンに彼が映ることは、大きな意味をなしているのだと思います。

アマンダとグレアムの出会い
一方アマンダは、ベッドで眠ろうとしていました。するとそこへ、酔ったアイリスの兄グレアムの突然の訪問。アマンダは困惑し、妹のアイリスがいると思っていたグレアムもビックリ。アマンダは、アイリスと家を交換して休暇を過ごしているとを話します。ひどく酔った様子のグレアムは家へ上げてもらい、アマンダに色々と質問。アマンダは恋人と別れて傷心休暇中で、思っていたよりつまらないから明日帰国しようと思っていると話しました。やがて2人はブランデーを飲みながら良い雰囲気に。そしてキスを交わし、アマンダは「2度と会わない人と寝るって刺激的…」と大胆にもグレアムをベッドにお誘い。思いがけないアバンチュールを楽しみました。

僕が出会った中で、最高に面白い女性だ。


キス中にペラペラと話をするアマンダがすごく可愛いし面白いので、クスッとしちゃう。そして自信が無いと言いつつも、ベッドに誘ってくるアマンダを見てグレアムは「自分で思っているより、ずっと魅力的だよ」と言うの…!破壊力がすごい…!ジュード・ロウのセクシーなブリティッシュアクセントも相まって、最高にハンサム…!

そして翌朝グレアムは、お互い深入りしない方が良いとアマンダに一線を引く発言。さらにグレアムの携帯が鳴りアマンダが取ってあげると、着信はソフィーという女性から。女性の影のあるグレアムとは一夜限りの関係だと、アマンダは理解していました。そして「私はあなたに恋はしない、私の恋愛観は他の人と違うの」と言います。グレアムは「やっぱり面白い女性だ」と言い、距離を置く発言をしながらもアマンダに電話番号を尋ねます。アマンダが難色を示すと、グレアムは聞くべきじゃなかったと謝り、もし気が変わって帰国をやめるなら今夜はパブにいる、と言い残して帰宅。そして帰国しようと空港に行くアマンダですが、グレアムが頭から離れません。
脚本家のアーサー
一方寝起きのアイリスは、Jetの『Are You Gonna Be My Girl』でご機嫌にダンス。


そう…!1人の充実した時間ってこう言うこと…!
しかしそんな楽しい時間をぶち壊したのはジャスパーからの電話。彼が執筆中の本に問題が発生し、原稿を送るからチェックして欲しいと言うのです。頼みに弱いアイリスは承諾。その後、車で出かけると以前見かけた歩行器の老人が1人で道を歩いていました。心配になったアイリスは、彼を家まで送ることに。するとアーサーと言う名の彼は、面白い話をどんどんし始めます。さらに彼はアイリスのブリティッシュアクセントに気付き、アイリスがサリー州の出身だと言うと「ケーリー・グラントの故郷だ」と言いました。なぜ知っているのかとアイリスが尋ねると「本人から聞いた」と言うのです。これにはアイリスも不思議そうな顔。

ケーリー・グラントは『フィラデルフィア物語』などに出演している英国俳優。監督のナンシー・マイヤーズは、ジュード・ロウにもケーリー・グラントの作品を観て学ぶようにと言っていたそう。古い映画が好きな人にはたまらない演出が散りばめられていますね。
そしてアイリスにお礼を言い「シャレた出会いだな」と、1つのストーリーを話し始めます。

見知らぬ男と女が買い物に行く。2人は偶然同じパジャマ売り場に行く。男は店員に「ズボンだけくれ」と言い、女は「上だけが欲しい」—見つめ合う2人。”シャレた出会い”だろ?あくまで映画の話だが…。

映画によく通じている彼の発言に、アイリスは映画界の人?と尋ねると、彼は昔脚本家だったと言います。そして彼を家の中まで送り届けると、彼の部屋にはたくさんの資料とトロフィーが。その中にはなんとオスカーのトロフィーまでありました。アイリスは「嘘みたい…!」と呟きます。そしてアイリスは「変な申し出だけれど…」と彼をディナーに誘います。すると「1978年以来ずっと暇だよ」と彼は快諾。2人はレストランでディナーを楽しみながら、黄金期のハリウッドの話に花を咲かせます。アーサーは17歳の頃にMGMの創立者である、 ルイス・B・メイヤーに出会い、雑用係としてMGMに雇われたと話していました。

そしてアーサーは、何故休暇中に自分のような老人に付き合っているのかと尋ねます。するとアイリスはジャスパーから受けた仕打ちを話し、思わず涙ぐんでしまいました。アーサーは「そいつはクソ野郎だ」とアイリスを励まします。

映画には主演女優と、その親友が登場する。君は主演女優だ。なのに親友役を演じている。
その言葉にアイリスは「自分の人生だから主役のはず」目から鱗。アーサーに感謝しました。
アマンダとグレアムの初デート
一方アマンダは帰国を取り止め、パブでグレアムに再会。翌朝、酔い潰れたアマンダは記憶が無く、グレアムは「凄まじかったよ」と苦笑い。するとグレアムの携帯が鳴り、アマンダがまた何気なく取ってあげると相手はオリビア。外で電話をするグレアムを見ながらオリビアは「ソフィー、オリビア、アマンダ…忙しいこと」と独り言を溢します。

そして電話を終えたグレアムは「お互いを知ろう」とアマンダをデートに誘い、アマンダは困惑しながらも誘いを受けます。そして久しぶりの初デートに緊張気味のアマンダはグレアムを質問攻め。「まるで就職面談だ」とグレアムは笑います。そしてグレアムがアマンダの家族について尋ねると、アマンダは幼い頃に父が出て行ったことを話しました。「三銃士みたいに仲の良い家族だったから…」と悲しげ。そして強くなろうと努力してきたから、15歳から1度も泣いていないと言います。それにはグレアムもビックリ。「泣きたくても、泣けないの」と言うアマンダにグレアムは「僕は泣きベソ男だ」と涙もろいことを告白。

2人の会話は弾み、どんどん親密に。そしてグレアムがアマンダを家まで送り届けて家に上がろうとすると「私は9日後に帰国するし、これ以上深入りしたら収拾がつかなくなる」とアマンダは一線を引きます。グレアムも理解して、家に入るアマンダの後ろ姿を見つめました。
アーサーのハヌカパーティー
一方アイリスはアーサーとその友人達とハヌカーパーティー。そこへマイルズがやって来て、ジャスパーからの郵便をアイリスに渡しました。中にはメッセージも無い記事が一式。アイリスは表情を曇らせますが、マイルズをパーティーに誘うと記事を放り出し、パーティーを楽しみます。

マイルズはそこで女優の彼女がいると話し、撮影で10日ほどニューメキシコに行っていると言いました。やがてパーティーはお開きになり、アイリスはマイルズを見送ります。

ここで2人は『カサブランカ』について話しています。『カサブランカ』の脚本はアーサーの友人が担当し、かの有名な「君の瞳に乾杯」というセリフはアーサーの加筆だったと。面白ポイントですね!
そして外は、またも強い風が吹き荒れています。「飛ばされないで」とアイリスは、出会った時にマイルズが言ったセリフを言いました。
グレアムの真実
それからアマンダは、グレアムに一線を引いたことを後悔し、ドレスアップしてグレアムの家を訪問。そして昼間のことを謝罪すると、家の中から2人の女の子が出て来ます。彼女達の名前はソフィーとアマンダ。いつもグレアムの携帯に電話をかけていたのは、子供達だったのです。困惑しているアマンダですが、子供達に家へ上がるように誘われ、お邪魔することに。子供達は美しいアマンダと、豪華なお土産に興味津々。そしてグレアムは2年前に妻と死別したことをアマンダに話しました。思わず悲しげに驚くアマンダに、グレアムはホットチョコレートをご馳走します。


ホットチョコレートのマシュマロを口につけたキャメロン・ディアスの破壊的な可愛さよ….!そしてここで、子供達にせがまれてグレアムが披露する「ミスター・ナプキン」も可愛くて最高ですよね…!可愛い2人…!ちなみに「ミスター・ナプキン」のシーンはジュード・ロウのお気に入りだそう◎

そして子供達はアマンダにすっかりなつき、手作りのテントを見せてくれました。オリビアはそこで、家族のことを「三銃士」と言い、その言葉にアマンダは思わずオリビアを見つめます。続けてオリビアは「女の人が来たのは初めて、嬉しいな」と呟き、アマンダは複雑な表情。その後子供達と別れ、グレアムは相手をよく知るまで子供達のことは話せない、とアマンダに言いました。そして2度と会えないアマンダを子供達に紹介したくなかった、と悲しげ。


僕はロンドンの編集者。君はLAに住む美しい予告編製作者。住む世界が違う。
子育てと家事と仕事に追われるグレアムは、両親に子供を預けている時だけ1人の男に戻れるのだと、生活の苦悩を話しました。アマンダも「大変ね」とグレアムを労います。
アーサーの歩行訓練
一方アイリスはすっかりアーサーと仲良くなり、家に遊びに行く間柄に。

今日は9本の映画が公開される。昔は月に9本だったのに。今じゃ1週間の成績で成功か失敗か決まる。これじゃ名作は生まれん。
映画の愚痴をこぼすアーサーに、アイリスはポストに入っていた脚本家組合の手紙渡します。するとアーサーは読まずに捨てるので、アイリスが中身を見てみると、それは脚本家組合がアーサーの祝賀会を開きたいと言う内容。アーサーは上手く歩けないし、表舞台には立ちたくないと拒否しているのです。そして映画の話をしてごまかそうとします。

ここでアーサーとアイリスは、アイリーン・ダンの話をします。「アイリーン・ダンって最高!」と言うアイリスにアーサーは「ガッツさ」と言いました。アーサーはガッツのある強い女性の映画をアイリスにおすすめしているのです!
しかしアイリスは、祝賀会を開けるようにアーサーの歩行訓練を開始。アイリスはプールを使っての運動や歩行器を使わないで歩かせたり、アーサーがスムーズに歩けるよう訓練を続けました。

グレアムの電話
ある日グレアムは、アイリスに電話。アイリスが話していると、アマンダから割り込みの電話が。やたらアマンダとグレアムが互いを気にしている様子から、グレアムがアマンダに手を出したと感づいたアイリスは「男がいないって条件で家を貸したのに手を出すなんて最低!!」とグレアムにブチ切れ。しかし電話が混線していて、相手はアマンダ。慌てて謝るも、気まずい雰囲気に。

そんなアイリスに、さらに電話が。相手はマイルズで、クリスマスイヴの予定を尋ねる電話でした。アイリスはレンタルビデオ屋に行くと言うと、マイルズも来ることに。
マイルズとアイリスのクリスマスイヴ
そしてクリスマスイブの夜。マイルズは「街で1番うまいドリンクが2種類ある。好きな方をどうぞ、クリーム増量タイプだね」と上機嫌でアイリスにドリンクをご馳走。そしてアイリスに映画のサントラをノリノリで説明しながら、レンタルビデオ屋を散策。『炎のランナー』のテーマを作ったヴァンゲリスが電子音楽に革命を起こしたことや、本作のサントラも担当しているハンス・ジマーの『ドライビング・ミス・デイジー』のテーマや、『風とともに去りぬ』のテーマを大声で歌い出してしまう始末。照れながらもアイリスは楽しそう。その後も『ジョーズ』のテーマは2音だけで効果満点なことや、サントラが全て書き下ろしの『卒業』についてや、人生を変えた1本として『ミッション』を紹介しました。


マイルズが『卒業』のサントラを紹介するときに、チラッとダスティ・ホフマンが映ります…!「どこにも行けないな…」とセリフは一言ですが、豪華すぎるカメオ出演です。何とこのカメオ出演は偶然の産物!たまたま撮影現場のレンタルビデオ屋をホフマンが車で通りがかり、撮影機材に気付いて見に行ったことがきっかけだそう。監督のマイヤーズとは知り合いだったので、スムーズにカメオ出演が決まったのだとか。すごすぎるし楽しすごる小ネタ!

しかし、マイルズはレンタルビデオ屋の外を男と歩く恋人のマギーを発見。撮影でニューメキシコにいるはずが、嘘をついて浮気をしていたのです。マイルズはアイリスと家に戻り、「どうして悪女に引っかかってしまうんだ…」と落胆。「悪女の魅力には逆らえないから」とアイリスは鋭い分析。そしてアイリスは、落ち込むマイルズに自分とジャスパーの話をします。

こんな時は自分がちっぽけに思えて、心が軋んでズキズキ痛むの。でもいつか長い苦悩も終わる。新しい場所で、大切なひとに出会えるわ。砕けた心は元通りになる。涙の日々や虚しく過ぎ去ったこの数年間…忘れられるわ。
自分より深刻なアイリスの話に「君こそ飲めよ」と思わず酒を渡すマイルズ。

今夜はイヴだ、庭で食事をしよう。焚き火を焚いて、シャンパンを飲んで若さと人生を祝おう。僕が付いてる。
そして2人はせっかくのイヴを楽しむことに。

「夜のアーサー」
その後もアイリスは映画を楽しんだり、アーサーの祝賀会の準備を進めたりと残りの日々を満喫。

この時アイリスがプロジェクターで見ている映画はケーリー・グラントの『ヒズ・ ガール・フライデー』です。ここでもケーリー・グラントが登場していますね!

そしてマイルズは、アーサーの祝賀会のテーマソングを制作。「夜のアーサー」と言う曲で、アイリスに聞かせると、とても気に入りました。そしてマイルズは「君の曲もある」とアイリスのテーマを弾いて見せます。美しいメロディにアイリスは感激。

グレアムの告白
一方のアマンダは、1人で過ごしていました。パスタを作ったり散歩をしながら泣く練習をしたり…日々は過ぎてゆきます。そして最終日の夜、子供達との一見以来会っていなかったグレアムが、アマンダのもとにやって来ました。アマンダは大喜び。そこでグレアムはロンドンに来てほしいと言いますが、アマンダは無理だと悲観的。そして「それか、こう考えたら?この2週間は完璧だった。これ以上無いほど。そう思えば気分良く別れられる。私が8時間後に去っても良い思い出として残るわ」と言います。するとグレアムはアマンダに愛の告白をするのです。

君を愛してる。僕は不器用な男だが、どうやら本気で君を愛してしまった。君が去ってしまうからとか、体の相性とか、悲観的観測も関係無い。理屈抜きに、君を愛しているんだ。信じられないほどに。もうこんな恋をするとは思っていなかったから驚きだよ。僕は子供がいてこぶつきで、現実的には不利だけど、僕はやっと自分の望みが分かった。奇跡のようなね。僕の望みは、君だ。
アマンダは感激しながらも困惑し、すぐに答えを出せず、グレアムは落ち込みます。しかしアマンダはグレアムに優しいキスををしました。
「クソ恋愛からの奇跡の復活!」
一方、アイリスとマイルズは楽しくレストランで食事中。『レディ・イヴ』などの映画の話で盛り上がります。「アーサーのおすすめ映画には強い女性が出てくるの」とアイリスは楽しげ。

ここでマイルズがアイリスの胸をアクシデント的に触ってしまうのですが、このシーンはジャック・ブラックが、監督のマイヤーズの胸をアクシデント的に触ってしまった出来事から生まれたシーン!

しかしマイルズのもとにマギーからの電話が。マギーは浮気相手と別れたからよりを戻したいと言うのです。アイリスは気を使って食事を切り上げ、マイルズをマギーの元へ送り出します。そして今夜に控えたアーサーの祝賀会に、来れたら来て、と微笑みました。

見送った後のアイリスの表情よ…。アイリスは本当に気遣いの鬼…!優しいし、自己犠牲精神が強い…。そんな頑張り屋さんだから本当に心配になりますね…。
そしてアイリスは帰宅し、ジャスパーが送られてきた記事に目を通していました。するとジャスパーから電話が。贈り物を送ったと言われ、玄関を見にいくと、そこにはジャスパー本人が。そして「君を失いたくない」と言うジャスパーにアイリスは流されていきます。しかし、彼はまだ婚約者のサラとは別れていませんでした。このまま2股をかけ続けようとしていたのです。アイリスはそれに気付き「危うく騙されるところだった!」とジャスパーにブチ切れ。

3年も遅れたけど言わせてもらうわ。ジャスパー、私を甘く見ないで。私の心を傷付け、それを私のせいだと思い込ませた!あなたに夢中だったから怒れないし、ずっと自分を責め続けてきた!なのに厚かましく私の素敵なクリスマス休暇に押しかけて来て、結婚直前なのに私を失いたくないなんて言ってる!今こそ言ってやる、終わりよ。こんな…不毛で歪んだ関係はついに終わるの!クソ恋愛からの復活よ!新しい人生を始めるの、あなた抜きでね!

そしてジャスパーを追い出し、ジャスパーは「何が君を変えた?」と困惑。アーサーの勧めた映画によって、アイリスの心は力強い人生の主演女優へと変わっていたのです。

分からない…でも私の中から湧き上がってくるの、ガッツが!
アーサーの祝賀会
ジャスパーを人生から追い出したアイリスはドレスアップをし、軽い足取りでアーサーの元へ。アーサーも祝賀会に向けてスーツでめかしこんでいました。そしてアーサーはアイリスに白い花のコサージュをプレゼント。アイリスは大感激。「そのドレスには古臭いかもしれないが…」と言いますがアーサーは喜んで手に付けます。

古風なのが良い。古風な人生は憧れよ。
アーサーは「良いセリフだ」と微笑み、「恥を晒しに行くぞ!」と意気込みました。

そして会場に到着すると、予想を超える大勢の人々が大きな拍手でアーサーを迎え入れました。アーサーは緊張しながらも嬉しそう。そしてアーサーが舞台に続く階段を見て不安そうな表情を浮かべた時、マイルズの作った「夜のアーサー」が流れ出し、アイリスは思わず会場を見渡します。アーサーも曲に背中を押されたように、軽やかに階段を登り切りました。するとマイルズが走ってアイリスの元へやって来て、彼女との関係をキッパリ終わらせて来たと言います。そしてマイルズはアイリスに大晦日の予定を尋ねました。アイリスは悲しげな表情でロンドンに戻ると言うと、マイルズは「一緒に行って良いかな?」と言い、アイリスは「もちろんよ」とマイルズにキス。

この時のアイリスの顔、何だかほっとしている様に見える。ようやく大切な人が見つかって、人生の主人公に戻って来たからだと私は思っています…!最高…!マイルズのガッツポーズとアイリスのとびきりの笑顔が忘れられません!

アマンダの涙
一方アマンダは帰国の時。荷物を車に積んでグレアムに別れを告げていました。アマンダは「また会えるわ」と大袈裟な別れをせずに、グレアムに優しいキス。泣きベソ男のグレアムは、泣きそうな表情でアマンダを見送ります。そしてアマンダは車に乗り込み、グレアムとの幸せな休暇を思い返します。すると15歳ぶりに涙が流れ、アマンダは泣きながら久々の涙に大喜び!

そして車を停めて、走ってグレアムの元へ向かいます。

王道のラブコメって感じのシーンで本当に大好き!走るキャメロン・ディアスが可愛いのなんのって…!失われていた感情の一部が戻って来たのかな…。
コテージに戻ると、グレアムは泣きベソ。そしてアマンダは「大晦日前に別れるのはミジメ過ぎない?誘われなかったけど、愛を告白されたらデートしなきゃね」と言います。「大晦日は娘たちもいる」と言うグレアムにアマンダは「完璧」と答え、グレアムを抱きしめます。


ようやく涙が出て、アマンダは本当の愛を見つけたのかも。それにしてもアマンダの行動力と、泣き虫のグレアムを抱きしめるカッコイイシーンが大好きです…!強くて美しい人、憧れるな…。それにしても泣きベソのジュード・ロウ可愛い…。
幸せな大晦日
そしてアイリスとマイルズ、アマンダはグレアムは4人でイギリスの大晦日を楽しみました。ようやく幸せが訪れた主人公2人。幸先の良い年越しはなんて幸せなんでしょう。


王道ハッピーエンド最高…!クリスマスに観れば多幸感と元気に溢れる作品ですね…。主人公の2人を見てると、幸せになるために行動を起こさなきゃ、って気持ちになります。
おわりに
いかがでしたか?心温まるだけでなく、前向きな気持ちにさせてくれす素晴らしいクリスマス映画です。新しい世界や新しい人に出会うをくれるので、見るたびに勇気がもらえます。クラシカルな雰囲気のBGMや、映画の世界が散りばめられた演出も最高ですね。クリスマスの夜は、是非『ホリデイ』をみて観てください。きっと気持ちよく新年を迎えられますよ!

参考文献
IndieLondon-『The Holiday – Nancy Meyers interview』
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