【可愛さ解説】Paddington1【愛に溢れた魅力やセリフ、豆知識もご紹介】

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Molly
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今回はイギリスで、今もなお愛されてやまない映画「パディントン」の愛すべき魅力やセリフをたっぷりご紹介したいと思います◎

IMDbより引用

「パディントン」は2016年1月5日に日本で公開された作品です。イギリスとフランスの共同製作で、イギリスの児童文学「くまのパディントン」が元となっています。コミカルなテンポで、愛くるしいパディントンの物語が進んでいくので、年齢問わず楽しめる素敵な作品となっています。

イギリスの名作「くまのパディントン」

映画「パディントン」は1958年にイギリスで出版された「くまのパディントン」というイギリスの作家マイケル・ボンドによる児童文学を元にして作られました。全15作品が出版されており、そのどれもがパディントンが主役の物語となっています。

始まりは1956年のクリスマスイヴにボンドがロンドンの百貨店、セルフリッジデパートで妻へのプレゼント探しをした事でした。彼はプレゼントを探しながら店内を歩いていると、棚の隅に放置されたテディベアを見つけたのです。不憫に思ったボンドはそのテディベアを購入し、家へ連れ帰りました。それが彼のパディントン物語を作るきっかけとなったのです。また作中で、パディントンと言う名前はブラウン一家が付けた名前ですが、それはボンド夫妻がその当時にパディントン駅の近くに住んでいた事が由来となっています。

パディントンの声の主

Los Angeles Timesより引用

パディントンの声を担当したのは英国俳優のベン・ウィショーです。当初は同じく英国俳優のコリン・ファースが担当する予定でしたが、声を吹き込んでみたファースは自分の声がパディントンに合っていないと感じ、製作陣と話し合った結果円満に降板する事になったのです。そして白羽の矢が立ったのがウィショーでした。オファーを受けた彼は「オーディションに呼ばれて行ってみたら、みんなちょっとパニックになっていたよ。劇場公開が5ヶ月後に迫っていたからね。」と語り、かなり時間の迫った中でのオファーだった様です。またウィショーは「本当はすごくオーディションに行きたくなかったんだ、以前にも声優のオーディションを受けたけど、僕にはとても向いてないって思ったから。でもこれは上手くいっている様に見えた。それに最初の作品は全てが慌ただしかったよ。」とも語りました。

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初めて映画を見た時、ベン・ウィショーの声が繊細で優しくて礼儀正しいパディントンにぴったりだと私は感じました。コリンの声で話すパディントンも少々気になりますが…。

余談ですが、コリン・ファースは映画から降板する際に「Conscious Uncoupling(意識的なカップル解消)」という言葉を使ったのですが、こちらの言葉は米国女優のクヴィネス・パルトローがイギリスロックバンドのコールドプレイのVoクリス・マーティンとの離婚の発表で使われた造語で、コリンはこの言葉を用いて機知に富んだコメントをしたのです。さすがのコリン・ファースですね。

Cast Paddington1

CharacterActor
パディントンベン・ウィショー
ルーシーおばさんイメルダ・スタウントン
パストゥーゾおじさんマイケル・ガンボン
ヘンリー・ブラウンヒュー・ボネヴィル
メアリー・ブラウンサリー・ホーキンス
バード夫人ジュリー・ウォルターズ
カリーピーター・カパルディ
ミリセント・クライドニコール・キッドマン
サミュエル・グルーバージム・ブロードベント

Story

ペルーに住んでいた熊の夫婦、パストゥーゾとルーシーは、イギリスからやって来た探検家と仲良くなり、いつの日かイギリスに行く事を夢見ていました。パディントンはそんな2人と、美味しいマーマレードジャムを作りながら仲良く暮らしていた子グマです。そんな時突然の大地震に見舞われ、パストゥーゾが亡くなってしまいます。家と愛する家族を失ったルーシーとパディントンは、ペルーの森を離れルーシーは老熊ホーム、パディントンはロンドンへと向かいます。そこでパディントンは運良く出会った心優しいブラウン一家の力を借りて、新しい自分の家を探しを始めるのです。そんなブラウン一家と、パディントンが様々な問題を乗り越えて、本物の家族になるまでを描いた心温まる物語です。

ペルーを訪れた探検家

その昔、パストゥーゾとルーシーの暮らすペルーの森にモンゴメリー・クライドと言うイギリスの探検家がやって来ました。そしてパストゥーゾが、クライドに付いた蠍を取って助けた事から彼らは仲良くなります。クライドは持って来たマーマレードや日用品、故郷のロンドンの事を2匹に紹介しました。そしてクライドは帰り際に彼らに自分の探検帽を渡し、ロンドンに来たら暖かく迎えると言い残します。

IMDbより引用

時は過ぎ、パディントンを家族に迎えてからも、ルーシーとパストゥーゾはでマーマレードジャムを作りながら楽しく暮らしていました。彼らはクライドから聞いたロンドンに憧れ、すっかり英語も話せる様になっていました。40年間、ロンドンへの旅を夢見てきたのです。しかしある晩、ペルーが地震に見舞われ、不運にもパストゥーゾは亡くなってしまいます。家も失くした2人は悲しみに暮れながら、新たな住処を探すべく森を出ます。そこでルーシーはパディントンをロンドン行きの船に乗せ、自身は老熊ホームへ入居する事を決めます。

ロンドンに辿り着いたひとりぼっちのクマ

何とかロンドンに辿り着いたパディントンは、ルーシーから言われた通り礼儀正しく人々に挨拶しますが、冷たくあしらわれてしまいます。そして彼は途方に暮れ、夜の駅で座り込み非常事態用のマーマレードサンドウィッチを食べようとしていた所に、ブラウン一家が通りがかります。

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パストゥーゾおじさんはいつも、探検帽の中に非常事態用のマーマレードサンドウィッチを忍ばせていたので、パディントンも持っていたのです。謂わばエマージェンシーサンドウィッチですね!可愛い…!

IMDbより引用

するとメアリーが立ち止まり、パディントンの挨拶に初めて丁寧に答えてくれました。

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この時パディントンは駅の「紛失物取扱所」の前にいて、これは英語表記で「Lost & Found」となるのですが、看板の「Found」の部分が電球切れで消えかかっています。しかし、メアリーがパディントンに話しかけた時、それがパッと光るのです!「Found」が光ってまさに2人がお互いを見つけた瞬間だ!となるとっても可愛い演出です◎

そして事情を聞き、パディントンの首にかかった「このクマをよろしくお願いします。」と言うルーシーが書いたタグを見て、メアリーはパディントンの家探しを手伝ってくれると言いました。

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メアリーは絵本作家をしていて、好奇心があり、心優しいとても素敵な女性です。心細いパディントンに感情移入してこのシーンを見ていると、優しく話を聞いて、助けようとする彼女にいつもウルウルしてしまいます…こんな人間になりたい…。

パディントンの名前の由来

ひとまず、ブラウン一家に迎えられた彼は、その時クマ語の名前しか持っていませんでした。それでは人間が発音するのは難しいので、メアリーは彼と出会った駅の名前である「パディントン」を彼の英語名としました。原作者のボンドが、買ったテディベアに名付けた方法と同じですね。

IMDbより引用

そして彼らは、駅からタクシーでブラウン家へ向かうのですが、その道中に映るロンドンの夜の街並みが美しくて心が躍ります。そしてそのシーンに、作者のボンドが友情出演しているのです。

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微笑みながらワイングラスを掲げて、パディントンに挨拶する姿が英国紳士ならではでとても素敵です!

素敵なブラウン一家

そしてパディントンはブラウン家に泊まる事になり、そこでお風呂を勧められるのですが、使い方を知らないパディントンはバスルームをめちゃくちゃにしてしまいます。お風呂は諦めて、屋根裏部屋に間借りをする事になりました。そしてそこでパディントンはルーシーに手紙を書きます。

IMDbより引用

ロンドンが想像と違って冷たい場所だった事や、ブラウン一家の事を綴りました。

ブラウン一家の紹介

リスクアナリストのヘンリー・ブラウンは一家の大黒柱。「クマがいる家は大災害に遭う確率が4000%上昇する」とパディントンを快く思っていません。一方妻のメアリー・ブラウンは本の挿絵作家をしている心優しいお母さん。近頃は、制作中の冒険物語の挿絵で描くはずのヒーローの顔が思い浮かばず困っています。

長女のジュディはトニーと言う彼氏のいるお年頃の女の子で、現在中国語を勉強中。弟のジョナサンは宇宙飛行士を夢見ていましたが、手作りしたロケットシューズで骨折してからは安全なおもちゃしか買ってもらえなくなってしまいました。しかし器用な彼は退屈なおもちゃを楽しい物に改造しています。バード夫人はブラウン一家の親戚で、住み込みの家政婦をしています。掃除や修理が大好きなしっかり者です。

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ジョナサンが機械いじりが好きなのは、作者ボンドの少年時代が基となった設定です。ボンドも機械いじりが好きな化学少年だったそう!

冒険家探し

メアリーが調べても、ペルーへ行ったイギリス人冒険家の事は分かりません。なので、冒険家からもらったと言うパディントンの帽子を、アンティークショップを経営し古物に詳しいメアリーの友人に見てもらう事になりました。翌日、パディントンはメアリーと一緒にアンティークショップへと向かいます。

それを見ていた隣人のカリーさんパディントンをかなり警戒している様子。

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このカリーさんを演じているのは、英国俳優のピーター・カパルディです。彼はイギリスBBCが放送している「ドクター・フー」の12代目ドクターを努めています。このドラマは1963年から放送されている世界最長のSFドラマシリーズで、とっても面白いのです!気になる方は是非チェックしてみて下さい◎

また、道中で電車に乗ろうと試みるパディントンですが、彼にとっては改札やエスカレーターなど初めて見る物だらけ。分からないなりに一生懸命な姿がとても可愛いです。

IMDbより引用

アンティークショップのグルーバーさん

メアリーとパディントンがアンティークショップへ到着すると、メアリーの友人でその店のオーナーのグルーバーが出迎えてくれました。店内はアンティークの家具や小物が所狭しと並び、とても可愛らしい雰囲気。そこでグルーバーは2人に、走る列車模型のティーセットで紅茶とお菓子を振る舞ってくれます。

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この列車のティーセットが本当に可愛い!中には小皿に乗ったケーキやたっぷり積まれた砂糖が入っていたり…小物付きの胸をくすぐります!ちなみにこの列車は、作者ボンドが所有していた列車模型が基になっているそう。細かな設定まで手がこんでいますね◎

机の上に走って来た列車に興味津々のパディントン。美味しいケーキと紅茶を楽しんでいると、グルーバーが列車を見ながら、自身がイギリスにやって来たばかりの頃の話をしてくれました。

「私の国には沢山の問題があったんだ。それで両親は私をここへ送り出した、今の君よりも幼い頃にね。私には素晴らしい叔母がいたけど、すぐに故郷が住処よりもずっと大切な物だと学んだよ。私の体はすごい速さで旅して来たけど、心の方は到着するのに時間がかかったよ。」

IMDbより引用

このグルーバーのモデルとなったのは、作者ボンドのエージェントをしていたハーヴェイ・ウナと言うドイツ系ユダヤ人と言われています。ウナはドイツから、ナチスに逮捕される前にイギリスへ亡命しました。作中でグルーバーは、第二次世界大戦前夜に叔母の元へ送られたドイツ人となっていますが、原作では彼はハンガリー人です。映画で彼がドイツ人に変更されたのは、グルーバーとウナとの結びつきを強める意味と、彼がその当時ドイツでナチスのユダヤ人迫害から子供達を守るために行われた「キンダートランスポート」によってやって来た移民の子供であると言う背景を反映させるためかもしれません。

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この作品はただの可愛い映画ではなく、過去の移民と英国の関係性なども背景に描かれたメッセージ性のあるものだと言えます。この様に伝記や様々な事実に基づいて細かく改変されているので、この作品は評価が高いのです。

パディントンの予期せぬ活躍劇

グルーバーさんに帽子を調べてもらっていると、怪しげな男が店に入って来ます。パディントンは気さくに挨拶をしますが、その男はスリの常習犯だったのです。パディントンに驚いて店を後にした犯人は盗んだ財布を落として逃げるのですが、パディントンはそれを彼の財布だと思い親切にも拾って追いかけて行きます。逃げる犯人を追いかけているうちに、運良く彼を捉える事に成功し、パディントンは一躍ヒーローとなります。

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犯人を追いかける途中で、犬のリードと傘に掴まってパディントンが空を舞うシーンがあるのですが、これはまるで「メリー・ポピンズ」の様です!「メリー・ポピンズ」も舞台がロンドンなので、ちょっとしたオマージュかもしれませんね◎

アンティークショップに戻るとみんなから活躍を讃えられるパディントン。グルーバーも常習犯が捕まったと大喜び。そして帽子は古い地理学者協会のものだと判明しました。

ブラウン家の一員に

その晩家で、それまで素っ気なかったジュディがパディントンに謝りました。「今まで冷たくしてごめんね、ただ新しい学校で変人だと思われたくなかっただけなの。」と言うジュディにパディントンは「わかるよジュディ、新しい場所へ行くのは簡単な事じゃない。」とロンドンと言う新たな地にやって来たばかりの彼だからこその言葉を返しました。その会話の最中、ヘンリーは「泊めるのは一晩だけの約束だ!」と言ってメアリーと揉めています。悲しそうなパディントンに子供達は、少しでもヘンリーに気に入ってもらえる様に身なりを整える事を勧めます。

パディントを楽しそうにお風呂に入れて乾かしてあげる子供達に、揉めていた2人もすっかり笑顔に。そして綺麗になったパディントに、バード夫人が青いダッフルコートを着せてくれました。

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ドライヤーで毛玉みたいになったパディントンが可愛すぎる…!

そのコートはヘンリーからジュディへ、ジュディからジョナサンへ受け継がれていた物でした。コートがとっても似合っているパディントンをみんなは嬉しそうに眺め、メアリーは「家族の一員に見えるわ。」と言います。そして快く思っていなかったヘンリーも彼に協力する事にしたのです。

迫りくるミリセント

ミリセントは自然史博物館の剥製部長。そして彼女は、波止場から彼女のもとへ動物を届けに来たグラントから、ペルーから来た船にマーマレードの空き瓶と足跡が残っていたと聞き、すぐにパディントンの存在に気付きます。そしてパディントンを次のターゲットに定めます。

IMDbより引用

そして彼女はパディントン駅の警備室に忍び込み、ブラウン一家の乗ったタクシーを特定し、あっという間にブラウン一家の家を見つけます。そして偵察中に知り合ったブラウン家の隣人カリーに、パディントンを見張って1人になったら連絡する様に頼み、着々とパディントン捕獲計画を進めていきます。

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ミリセント演じるニコール・キッドマンはパディントンの大ファンで、出演が決まった時、悪役でも大喜びだったそうです!役作りにも熱心で、剥製のクラスを受講したり、ナイフ投げを特訓しましたが、ナイフ投げはあまりにも上達して子供向け映画には怖すぎるクオリティだったため、カットされてしまったそう…素晴らしい役者魂…!

消されたペルーの記録

翌日パディントンはヘンリーと地理学者協会へ、ペルーの記録を見に行きますが受付ではそんな記録は無いと言われてしまいます。ヘンリーはパディントンを疑い始めますが、パディントンは事実だと主張します。そこでパディントンはルーシーおばさんに教わった「睨みの目」でヘンリーを見つめます。

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「睨みの目」で見つめられると、暑くなって来て不快で不安な気持ちになってくる様…。見た感じは可愛いのに威力抜群ですね!失礼な誰かにお見舞いするそうです。

そしてパディントンに説得されたヘンリーは清掃婦に扮して施設の中へ忍び込みます。

ちょっと無理のある風貌ですが、なんとか潜入に成功し隠蔽されたペルーの情報を手に入れます。そして散らかした資料を慌てて機械に戻していると、誤ってパディントンの持っていたバゲットを機械に入れて詰まらせてしまいます。機械はバゲットを焦がしながら沢山の資料をぶちまけて壊れてしまいました。2人はそのどさくさに紛れて一目散に逃げ出します。

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ヘンリーの無理やりな変装も面白いシーンですが、巨大な地理学者協会の機械が壊れる印象的なシーンでもあります。移民であるパディントンのバゲットが、嘘つきでお高くとまった上流階級の記録を破壊したのです。とても風刺的に思えます。

グルーバーのお店で、早速手に入れたテープを見てみると、そこにはペルーの森、そしてパストゥーゾとルーシーの姿が記録されていました。恋しい故郷の記録にパディントン は釘付けになってしまいます。そしてそこで、ようやく冒険家の名がモンゴメリー・クライドだと判明しました。

深まるブラウン家との絆

一方でブラウン家とパディントンの絆は深まっていました。文具を細かく管理する神経質なヘンリーに、変わった小物を鞄に沢山入れているメアリー。そして色んな種類の掃除機をコレクションしているバード夫人。ジョナサンは器用に何でも作り、ジュディは賢くクマ語までマスター。パディントンはそんな少し変わっているけど優しいブラウン一家をとてもよく見ているのです。彼はここが自分の家だと感じ始めていました。

IMDbより引用

パディントンの家出

ある日、ブラウン一家が全員用事で家を空けなければならず、パディントンは1人で留守番をする事になりました。パディントンを残し、ブラウン一家を出るのを窓から見た隣人カリーはミリセントに連絡してしまいます。パディントンは大人しくメアリーから借りた住所帳でクライドの住所を探していましたが、ミリセントが天井から忍び込みパディントンを捕獲しようとします。驚いて逃げ惑うパディントンと麻酔銃や催涙ガスなどを使って捉えようとするミリセントは、家をめちゃくちゃにしてしまいました。

ミリセントは一旦撤収しますが、家はパディントンが逃げる際に誤って開いたガスの元栓のせいでキッチンが燃え、消防車が来たりと大変な事態に。帰って来たブラウン一家に、襲撃された事を正直に話しますが、全く信じてもらえません。ヘンリーは再びパディントンは家族にとって危険だと思い始めます。この家にはクマを置けない、と話すヘンリーとメアリーの会話を通気口から聞いたパディントンは、置き手紙を残して家を去ってしまいました。翌朝ブラウン一家は置き手紙を見つけてショックを受けます。

ブラウン一家へ
僕を泊めて下さって、どうもありがとうございました。あなた達はとても素晴らしい家族です。家をめちゃくちゃにしてしまって本当にごめんなさい。そして地理学者協会での出来事も。僕が家を去った今、問題が少しは落ち着くでしょう。 敬具 パディントン

ヘンリーはこれで良かったんだと言いますが、他のみんなはとても悲しそう。メアリー1人はパディントンの行方を探しに行きます。そしてバード夫人は「この家族にはあのクマが必要なのよ。彼があなたを必要とした様にね。」とヘンリーに助言をしました。

捕らえられたパディントン

パディントンは冷たいロンドンの街でクライドの家探しを始めます。

メモした沢山の住所を訪ねますが、なかなか見つかりません。そして最後の一家を訪ねると、女性が「モンゴメリー・クライドは私の父よ。」と答え、パディントンを招き入れてくれました。しかしそこにいたのはミリセントで、彼女は「私があなたの家を用意してあげる。」とパディントンを連れ出します。前回の襲撃ではパディントンは彼女の顔を見なかったので、疑う事なくついて行ってしまいます。しかし丁度そこへ、ミリセントへ花を渡しに来たカリーが彼女が剥製を作ろうとしている事を知り、慌ててブラウン一家に電話します。

IMDbより引用

言われるがままに、自然史博物館へ連れてこられたパディントン。ミリセントは彼に、自分の父がペルーで言葉を話すクマを見つけたが彼らを守るために情報を地理学者協会へ伝えず、そのせいで除名され、手に入れるはずだった富や名声を失っ事を話しました。その後モンゴメリー・クラウドはふれあい動物園を開いて過ごしたと言います。彼女はパディントンを剥製にする事で、父の成し遂げられなかった仕事を成し遂げ、惨めな幼少期の憂さと父の汚名を晴らそうとしていたのです。パディントンはそれを聞いて、慌てて逃げ出すも麻酔銃で眠らされてしまいます。

ブラウン一家のパディントン救出作戦

カリーの連絡を受けたブラウン一家は慌てて自然史博物館へ向かいました。そして下水道を通って中へ侵入し、パディントンを探します。バード夫人はその間に警備室で警備員とお酒を酌み交わし、防犯カメラから警備員の気を逸らしていました。そしてブレーカーを見つけたブラウン一家は、電気を落としてミリセントの作業を中断させます。ブレーカーをチェックしにミリセントが部屋を出た隙にパディントンを救出しようと試みるも、部屋には鍵がかかっていました。そこでヘンリーは、窓のへりを伝って外側からその部屋に向かう事にしたのです。危険だと止めるメアリーに「誰かがやらなきゃいけないなら私がやる。」と言う勇敢なヘンリーを見て、メアリーはやっとヒーローの顔を思い浮かべる事ができました。

ヘンリーは危険に晒されながらなんとかパディントンの眠る部屋まで辿り着き、窓を叩いて彼を起こします。しかし、そこでブレーカーを直したミリセントはブラウン一家が残した足跡を見つけて侵入者に気付き、あちこちの防犯シャッターを作動させます。目を覚ましたパディントンは間一髪で部屋から逃げ出す事ができました。そしてパディントンは見つけた煙突をよじ登り、屋上へと向かいます。その際、クマ語を話せる様になっていたジュディは、パディントンと吠え合って会話をし、彼が屋上へ向かっている事が分かります。

大切な家族の絆

屋上でパディントンとブラウン一家は合流し、逃げようとしますが、ミリセントが麻酔銃を持ってそれを阻止します。パディントンを渡す様に言うミリセントにメアリーは「そんな事しないわ。彼は私達の家族よ。」と抵抗しますが「家族?同じ種族でも無いくせに?」とミリセントは聞く耳を持ちません。するとヘンリーはパディントンへの思いを口にしました。

「初めてパディントンに会った時、関わりたく無いとも思った。でも私の素晴らしい妻が、彼に心を開いたんだ。私の優秀な子供達も。そして今、私も心を開いた。彼が他所から来ようが、別の種族であろうが、厄介なマーマレード好きであろうが、私達はパディントンを愛している。だから家族になれるんだ。そして家族は1つだ!だからもし彼をよこせと言うのなら、私達全員を連れて行け!」

IMDbより引用

引き下がらないミリセントにパディントンは自ら向かって行きます。そして「最後にサンドウィッチを食べさせて」とお願いし、それを聞き入れたミリセントへ向かってサンドウィッチを投げました。そしてサンドウィッチ目掛けて飛んで来た大量の鳩が、ミリセントを屋上のふちまで追いやりますが、あと一歩の所で彼女は踏み留まります。ブラウン一家は麻酔銃を向けられ絶体絶命のその時、バード夫人がミリセントの足元の扉を開いて出て来たのです。

図らずしもブラウン一家を助けたバード夫人。

バード夫人のおかげで一家は助かり、ミリセントは扉の開いた勢いで屋上から落ちてしまいますが、へりにつかまってなんとか助かります。そしてブラウン一家とパディントンの絆は確かなものとなったのです。この後逮捕されたミリセントは刑務所でなくふれあい動物園での奉仕活動を言い渡され、彼女にとって一番屈辱的な罰を受ける事になります。

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パディントンの救出によってブラウン家は本来の絆を取り戻し、パディントンは第2の故郷を手に入れました。近年イギリスでは高い離婚率による家族関係の崩壊などが危惧されており、この作品はそんなイギリスに向けた、家族を取り戻す物語でもあるのかもしれません。

パディントンの見つけた「HOME」

晴れてブラウン一家の一員となったパディントンはルーシーに手紙を書きました。そこには今までの騒動の事と、ブラウン一家と暮らし始めた事、ブラウン一家の絆がより深まった事などが綴られます。そしてバード夫人はこの状況を「物事がようやくあるべき姿になったから」上手くいっていると言いました。

IMDbより引用

ジュディは以前よりメアリーに心を開き、ボーイフレンドのトニーを自宅へ招いたり、過度の心配症だったヘンリーはジョナサンと一緒にロケット作りをしたりとブラウン家の関係性はより良いものへと変わりました。そしてパディントンはメアリーの言葉を手紙に引用しながら手紙にロンドンでの生活をつ綴ります。

メアリーさんは「ロンドンのみんなはそれぞれ違ってる。そしてそれは、ロンドンが誰にとってもふさわしい場所だと言う事。」と言っていました。僕は彼女が正しいと思います。何故なら、僕が周りと違っていても、ここが故郷の様に感じられるからです。他の人の様にはなれないけど、それで良いんだ。だって僕はクマだから。

IMDbより引用

パディントンはありのままの自分を受け入れてくれるブラウン一家を「Home」だと感じているのです。それは単なる家ではなく、いつも自分の帰る場所、故郷の様な存在です。こうしてブラウン一家とパディントンは家族になる事で、お互いの幸せを見つける事ができました。

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ありのままを受け入れてくれる誰かがきっといる、と言う暖かいメッセージを伝えてこの映画は終わります。そして過去に移民を受け入れたイギリス社会の、多様性を尊重する姿勢も伺えます。この作品には、ただの可愛さだけでなく、自分らしさや家族の絆、個性を尊重する優しさなど、暖かく素晴らしいメッセージが詰まっているのです◎

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回は可愛いパディントンと、この物語の大切なメッセージを考察してみました。映像はイギリスらしい美しい街並みがあふれ、可愛らしいパディントンと相まって英国好きにはたまらない作品でもあります。そんな美しい演出や優しいセリフに乗って私達に運ばれてくるのは、多様性の尊重の大切さや、暖かい家族の絆、イギリスの時代背景など考えさせられるメッセージばかり。そして原作や作者、歴史的事実を細かく反映させ、作り込まれているのでとても素晴らしいクオリティなのです。是非イギリスへの小旅行を兼ねて、可愛いパディントンと心優しいブラウン一家に会いにいってみて下さいね◎

IMDbより引用

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